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認知症基礎知識

こんな症状が気になりませんか?

  • 今までできていた仕事や作業ができなくなってきた。
  • 簡単な計算ができなくなってきた。
  • 時間や場所の間違いが多くなってきた。
  • 慣れているところで、道に迷った。
  • 同じことを何度も言ったり聞いたりする。
  • 水道やガス栓の締め忘れが目立つようになってきた。
  • 物の名前が出てこなくなった。
  • 以前に比べて、怒りっぽくなったり、疑い深くなった。
  • 服装がだらしなくなった。
  • 毎日の日課がこなせなくなった。
  • 以前に比べて、物事に対する興味、関心が薄れてきた。

こんな症状の方の中に
加齢によるもの忘れの方
認知症の方
MCI(軽度認知機能障害)の方
他の疾患によって認知症と似た症状の出ている方

が、いらっしゃいます。

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認知症とは何でしょうか?

脳は、私たちのほとんどあらゆる活動をコントロールしている司令 塔で、うまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ば なくなります。

認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働き が悪くなり、様々な障害が起こり、生活に支障が出ている状態が続 いていることです。

認知症で、最も多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく 「変性疾患」で、アルツハイマー型認知症、前頭・側頭型認知症、 レビー小体型認知症などがあります。

続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経 の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、神経細胞が死んだり、神 経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。

アルツハイマー型認知症

神経原性変化と老人班が主病変であり、神経細胞の脱落が 生じる。記憶障害が主症状であることが多い。

レビー小体型認知症

記憶障害以外に、幻視、パーキンソン症状、薬剤過敏性、転倒しやすい。体が傾く、などの症状がでることがある。

脳血管性認知症

動脈硬化が原因で、脳梗塞などにより引き起こされる。
脳病変の部位により、手足の麻痺、ろれつがまわらない、など、様々な身体症状も起こってくる。

その他、脳腫瘍、脳炎、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症などでも認知症を引き起こします。
この中には、手術や治療で改善が望める認知症もあります。

  • 気になる症状があれば、かかりつけ医に相談しましょう。
  • 必要があれば、専門医に紹介される場合もあります。
  • 普段の様子をよく知る方が同行しましょう。
  • できるだけ、相談内容を事前に伝えて、ご本人の自尊心を傷つけないよう配慮しましょう。
  • まぎらわしい状態としては、意識障害、せん妄、うつ状態、統合失調症、加齢による知能の低下、などがあります。

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加齢によるものと認知症のもの忘れは違いますか?

加齢による物忘れ

  • 体験の一部を忘れる。
  • 極めて少しずつしか進行しない。
  • 物忘れを自覚している。
  • 生活に支障をきたさない。

認知症による物忘れ

  • 体験の全部を忘れる。
  • 進行する。
  • 物忘れを自覚していない。
  • 生活に支障をきたす。

といった場合が多いです。

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MCI(軽度認知機能障害)とは何ですか?

年齢や教育レベルのみでは説明しにくい記憶障害があるものの、日常生活には支障をきたしていない状態で、この中には将来、認知症に進展していく方がいらっしゃいます。

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認知症の方はどのぐらいの人数でしょうか?

下の表は厚生労働省の統計です。年々、高齢化に伴い認知症の方は増え続け、現在は85歳以上の4人に1人が認知症と思われます。

認知症老人人口の推移

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認知症の症状はどういうものでしょうか?

脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状が記憶障害、見当識障害、 理解・判断力の低下、実行機能の低下など中核症状と呼ばれるもので、周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。

本人がもともと持っている性格、環境、人間関係などさまざまな要因がからみ合って、うつ状態や妄想のような精神症状や、日常生活への適応を困難にする行動上の 問題が起こってきます。これらを周辺症状と呼ぶことがあります。また最近はBPSDという言葉もよく使われます。

*見当識障害とは、ここはどこ?私は誰?今何時?などの現在の自分のおかれた状況を正しく認識できないこと。

急に、周辺症状が悪化した時は、まず、何か変わったことがなかったか?お薬の管理がうまく行われているか?生活習慣病や体調が悪化していないか?などに注意をしてみましょう。

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認知症の治療はどうするのでしょうか?

進行していく病ですが、進行を遅らせたり、穏やかな暮らしができるように、様々な試みがなされています。

薬物療法について

中核症状の進行を遅らせる効果があると、現在日本で唯一、保険の認可がおりている薬剤は塩酸ドネぺジル(アリセプト)のみです。最近では、認知症専門病院での治験の結果、米ぬか抽出物のサプリメントの効果が、認められています。

その他、周辺症状を改善するために、抗精神薬や睡眠剤、安定剤、漢方薬などが使用されることもあります。特にレビー小体型認知症では、薬剤過敏性のあることが多く、その使用には、適量を探すことが必要です。

脳動脈硬化の進行を防ぎ、脳梗塞予防を予防するために、高血圧、糖尿病、脂質異常症を治療し、必要なら抗血小板剤が用いられます。

認知症に対するワクチン療法も現在開発中です。

非薬物療法について

ご本人の気持ちに沿った、介護により周辺症状が改善する場合もあります。

音楽療法、園芸療法、絵画療法、回想法、バリデーション療法、アニマルセラピーレクリエーション療法など様々な取り組みがなされています。

高齢者の方に対する尊敬の念を常に忘れずに、接しましょう。

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認知症の方を介護する家族の方へ

いい介護者にならなくてはと頑張り過ぎないようにしましょう。

介護者が燃え尽きてしまっては、共倒れになってしまいます。自分の体や心をいたわる余裕をもつようにしましょう。

一人で抱え込んでしまわないように、様々な助けをかりましょう。

認知症に限らず、日常生活に援助が必要になってきたと思えば、お住まいの役所に申し出て、介護認定を受けましょう。介護度によって制限はありますが、以下のサービスを組み合わせて、1割負担で利用できます。 担当のケアマネージャーと相談しながら、活用しましょう。

  • デイサービス、訪問介護、訪問看護
  • 訪問、通所によるリハビリテーション
  • 短期入所サービス
  • 福祉用具の貸与、購入費の支給
  • 住宅改修費の支給 など。

その他、自治体によって、介護保険を利用しない独自のサービスを行っている自治体もあります。又、民間が行っている様々な事業も活用してみましょう。

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認知症を予防しましょう

高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、ストレスなどが動脈硬化を進め、脳血管性認知症を起こします。日頃から、生活習慣病を治療しましょう。

日頃から、趣味を持ち、閉じこもらないようにしましょう。

運動する習慣をつけましょう。

笑いのある生活を心がけましょう。

食生活に気をつけて、ビタミン不足にならないようにしましょう。

背の青い魚を摂りましょう。

米ぬか抽出物のサプリメントを摂りましょう。

あれ?、おかしいな?と思うことがあれば、かかりつけ医に相談しましょう。

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